ツルさんによると、特攻作戦の最前線であるこの基地に移ってきた兵士は、早ければ二、三日のうちに、遅くても二、三ヶ月のうちには出撃命令を受け、南方の空に飛び立って行くのだという。




それを聞いて以来、あたしは彼らに対するとき、どんな態度をとればいいのか分からなくなってしまった。




数日後には死にに行くかもしれない、もう会えないかもしれない。



そんな考えが何度も頭を過ぎった。




でも、平均二十歳くらいの彼らは今も、普通の若者と変わらない明るい表情で、ツルさんの料理をおいしそうに頬張り、仲間とおしゃべりをして、軽口をたたき、ふざけ合っている。




なんとも言えない複雑な気分で彼らの様子を見ていると、





「おぅい、百合ちゃん」





と奥の席から呼ばれた。



声の主は千代の恋のお相手、石丸さん。



その座敷には、彰を含めて五人が座っていた。



彰と石丸さんの他に、寺岡さん、加藤さん、板倉さん。




年齢も趣味もばらばらの五人だけど、同じ小隊に入っていて仲が良く、いつも一緒にやってくる。