彼らは、訓練が休みの日には必ず鶴屋食堂にやって来た。



食事を終えてもそのまま居座り、座敷に寝転がって世間話をしたり、新聞を読んだり、将棋や囲碁をしたり、カルタやトランプや花札で遊んだり、それぞれに休暇をのんびり楽しむのだ。




そのせいで、兵隊さんたちが来る日は他のお客さんは入れず、貸し切り状態になる。



近所に住んでいる常連さんたちもそれを分かっていて、訓練休みの日には来店しない。




ツルさんはいつも、彼らからほとんどお金をとらず、この時代にしてはかなり豪勢な料理を大量に出してあげる。



それでは採算がとれていないはず、ということがだんだん分かってきて、あたしはある日、彼らが帰った後に訊ねたことがある。





「ねえ、ツルさん」




「なんだい?」




「兵隊さんたちにずいぶん豪華な料理を出してるけど、お金は大丈夫なの?」





するとツルさんは笑ってこう言った。





「あの方たちは、みんな特攻隊の隊員なんだよ」