「ツルさん、お魚届きました」




「はいよ、ありがとね。冷蔵庫に入れといてちょうだい」





あたしは「はぁい」と返事をして、冷蔵庫という名のクーラーボックスに魚を移した。




朝のうちに買いに行って入れておいた氷の塊から、ひんやりとした冷気が放たれる。



外の熱気で溶けてしまわないように、すぐに戸を閉めた。





しばらくして、店の外からざわざわという人の気配がしてきた。




あたしは戸口まで行ってのれんをくぐり、外を確かめる。





「あ、百合ちゃん」





予想通り、基地の兵隊さんたちだった。




先頭を歩く石丸さんが笑顔で手を振っている。





あたしは「こんにちは」と挨拶をして、彼らを招き入れた。





ぞろぞろと中に入っていく兵隊さんたちの真ん中くらいに、彰がいた。





「百合、元気にしてたか」





彰がすれ違いざまにあたしの頭を撫でる。



すると後ろにいた兵隊さんたちが、「ずるいぞ佐久間!」と口々に文句を言った。