「お礼に、お掃除、手伝ってあげる」
嬉しそうに微笑みながらあたしのほうきを奪った千代に、何気なく訊いてみる。
「ねぇ、千代。
千代の学校も、授業は停止中なんだよね」
「へ? うん、そうだよ。
毎日工場で働いてる」
「………いやだな、とか、なんで? とか思わないの?」
あたしが呟くように言うと、千代はきょとんとした顔をする。
そして、はっきりと言った。
「兵隊さんは戦地で闘い、わたしたちは銃後を護る」
あたしが「なにそれ?」と言うと、「聞いたことないの?」と驚いたように目を丸くした。
「学徒動員の合言葉。
兵隊さんたちは、私たちのために命を危険にさらして戦ってくださってるでしょ?
私たち女子供はそれを直接お手伝いすることはできないから、工場で働くことで兵隊さんたちの応援をしてるの。
だから、ちっとも嫌だなんて思わない。
むしろ、みんな誇りだって思ってるよ」
嬉しそうに微笑みながらあたしのほうきを奪った千代に、何気なく訊いてみる。
「ねぇ、千代。
千代の学校も、授業は停止中なんだよね」
「へ? うん、そうだよ。
毎日工場で働いてる」
「………いやだな、とか、なんで? とか思わないの?」
あたしが呟くように言うと、千代はきょとんとした顔をする。
そして、はっきりと言った。
「兵隊さんは戦地で闘い、わたしたちは銃後を護る」
あたしが「なにそれ?」と言うと、「聞いたことないの?」と驚いたように目を丸くした。
「学徒動員の合言葉。
兵隊さんたちは、私たちのために命を危険にさらして戦ってくださってるでしょ?
私たち女子供はそれを直接お手伝いすることはできないから、工場で働くことで兵隊さんたちの応援をしてるの。
だから、ちっとも嫌だなんて思わない。
むしろ、みんな誇りだって思ってるよ」