「佐久間さんの妹は、年はいくつ?」





「今年で十四だな」





「じゃあ、あたしと一緒だ。

佐久間さんとは六つ……」





「………ちょっと、いいか」






佐久間さんが話を止めるように片手を挙げたので、あたしは怪訝に思って口を噤んだ。






「その、佐久間さん、という呼び方、どうにも変な感じがするなぁ」





「へ」





「妹と同い年の君から、そんな呼び方をされると、くすぐったいよ」






佐久間さんはなぜだか苦笑いを浮かべていた。






「………じゃ、なんて呼べば」





「そうだなぁ、下の名前でいいよ」





「下の名前って?」





「彰」





「あきらさん」





「ふふ、呼び捨てで構わない」





「あきら。あきら」






あたしが小さく反芻すると、佐久間さんーーー彰はにこっと笑った。






「妹もそう呼んでいたんだ。


なんだか懐かしいなぁ………」






あきら、と呼べることは、距離が縮まったような気がして嬉しかった。




でも、妹さんと重ね合わせられることは、少し複雑な気がした。