「あぁ、うまい！」



「ツルさんの料理は本当にうまい」



「おふくろの味だ」



「ツルさんは俺らの第二の母だね」





おいしそうな顔で勢いよく口の中に食べ物をかきこむ兵隊さんたちを、ツルさんはにこにこしながら見つめていた。





食事を終えても彼らは店を出ず、ツルさんを交えて談笑をはじめた。




疲れを感じたあたしは、店の片隅の椅子に腰かけて、その様子をぼんやり眺める。




すると、それに気づいた佐久間さんが一人席を立ち、あたしの前にやって来た。





「百合、なんだか元気がないな」




「えっ」




「顔色も優れないようだが、まだ体調が悪いのか？」





あたしはふるふると首を横に振る。




佐久間さんは確かめるようにあたしの顔を覗き込み、にこりと笑った。





「もう客も来ないだろう、少し外に出ないか？」





佐久間さんはそう言って、有無を言わせない調子であたしを外に連れ出した。




ちらりとツルさんを振り返ると、ツルさんは「行ってらっしゃい」と言うように手を振ってくれた。