朝早く起きて、共同井戸まで水汲みに行き、重いバケツを両手に持って戻る。




その後、氷屋さんに氷を買いに行く。



店で使う魚などを置いておく「氷冷蔵庫」に入れるためだ。



冷蔵庫っていうか、ただの木製のクーラーボックスみたいなものだけど。



その冷蔵箱に氷を入れて、それを保冷剤代わりにして、傷みやすい食べ物を保管しておくのだ。




つくづく、現代の冷蔵庫って便利だと思う。




それに、掃除機も洗濯機も。



この世界では、掃除といえば箒(ほうき)と塵取りと雑巾、洗濯は盥(たらい)と洗濯板。





ちょっとした家事も、かなりの肉体労働で大仕事だ。



体力を消耗して仕方がない。





それから、店の手伝い。




とはいっても、お客さんから注文をとって、ツルさんが作った料理を席に運ぶってだけなので、大変というほどでもなかった。





ただ、慣れない世界で少しでも上手く立ち回ることで精一杯で、閉店する頃にはどっと身体が重くなった。





けど、居候の身だから家事の手伝いなどまでしていると、足が棒になりそうなくらい疲れ切って、夜には気絶するように眠りにつく日々だった。