「おいし………」





佃煮も芋煮も、甘辛くてじんわりと心に染みる。




見慣れない色のご飯をじっと見ていると、ツルさんが、





「それ、麦ご飯だよ。

食べたことないかい?」





「あ、はい、ないです………」





「あれまぁ、本当にお嬢さんだねぇ。

白米は高くて、たくさんは手に入らないから、麦やら粟やらを混ぜて炊くのさ」






麦ご飯は、食べ慣れた白米とは違う風味と歯ごたえがあって、おいしかった。




お腹を膨らませるためなのか、皿に一杯に盛ってあるたくあんも、素朴で最高の味付けだった。





「ごちそうさまでした」





箸を揃えてツルさんに頭を下げると、ツルさんは「どういたしまして」と笑った。




ツルさんの笑顔って、なんだかほっとする。





「あ、ところでさ、百合ちゃん」




「はい」




「あんた、行くとこないなら、ここで働かないかい?」




「………え?」





あたしはぽかんとしてツルさんを見た。