「ほら、食べなさい」





ツルさんが出してくれたのは、湯気の立ち昇る味噌汁、大量のたくあん、さつまいもの煮物、小さな魚の佃煮。




そして、妙に茶色っぽいご飯。





いろいろツッコミたいところはあったけど、数日間なにも食べていないあたしのお腹は、目の前の食事を見た瞬間に盛大な音を立てた。






「………す、すみません………」






顔が真っ赤になっているのを自覚しながら呟くと、ツルさんは明るい笑い声をあげた。






「ほらほら、冷める前に食べなさい。

たいした物じゃないけどね、味付けには自信があるんだよ。

なんせ、ここは食堂だからね」






「………いただきます」






こんなにも真剣な、純粋な感謝の気持ちでこの言葉を言ったのは、初めてだと思う。





最初に味噌汁を飲んだ。




ちょっと味が薄かったけど、野菜の味がしっかりと染み出した、ものすごく心温まる味だった。