「ほら、私の手首よりも細いよ。

もっと栄養あるもん食べて、ちゃんと肉つけないと。

いくら贅沢は敵って言っても、身体壊しちゃ元も子もないんだから。


お風呂あがったら、店のほうに来なさい。

ご飯つくってあげるから!」






あたしが口を挟む隙もなく、ツルさんは一気に言ってぱたぱたと出て行った。




全身を拭き終えて、ツルさんが用意してくれた服に着替える。





………うわ、モンペ。




うちの中学の芋ジャージより百倍ださい。




しかも、上は着物だし。




着方よく分かんないよ………。





とりあえず適当に身につけて、店に行く。






「あら、百合ちゃん!

襟が反対だよ!」





「あ、やっぱり………」






服の着方さえ知らないあたしを、ツルさんは怪訝な顔で見ている。






「そういえばあんた、セーラーにスカート着てたもんねぇ。


今時あんな格好してるなんて、びっくりしたよ。


今はどこの女学校もセーラーやめてモンペになったってのにね」





「いえ、ははは………」






あたしは誤魔化し笑いを浮かべた。