うそ………信じらんない。




そんなことってありうる?





あたしは混乱しながら、頭の中を整理しようと試みる。





普通に考えて、タイムスリップなんて、フィクションの、ファンタジーの世界の話だ。




現実にあり得るはずない。





でも………そう考えたら。




今日の朝目覚めてから、今まで感じていた不審な部分が、全て納得できる。





古びた木造の平屋ばっかりの家。




木の電信柱。




佐久間さんやツルさんの不可思議な服装。




冷えていない水。




エアコンもない家。






信じらんないけど………たぶん、そうなんだ。





あたしは、70年前の日本に、タイムスリップしてきちゃったんだ!






それが分かった瞬間、あたしの目の前は真っ暗になった。






「………おい、君!!」




「あんた、大丈夫かい!?」





心配そうに肩に触れる佐久間さんの大きな手と、あたしを覗きこんでくるツルさんの気配を感じながら、あたしは意識を失った。