「もちろんです。

天皇陛下の御為に、大日本帝国のために、国民のために、俺は絶対に敵艦を撃沈してみせます。


そのために、誰よりも訓練に邁進して、操縦の腕を磨いてきたんです。

まだ新人兵ですが、操縦の技術は上級兵にも及ばないと自負しています」






佐久間さんはきらきらと希望に輝く瞳で、熱を帯びた口調で語った。





…………なに?



さっきから何いってんの?




特攻、って、聞いたことくらいはある。





爆弾と片道分の燃料だけを積んで、『決して戻っては来ない』前提で、出撃するとか………。




それって、つまり、自爆テロだよね。





それを、こんなに誇らしげに語るなんて。




意味わかんない。






………っていうか、ここ、どこ?




なんなの、ここ。




あたしが知ってる場所じゃないみたい。





そのとき、ふと、横のテーブルに載っている新聞が目に入った。





見慣れない難しい漢字が並んだ、不思議な紙面。




思わず手を伸ばして、日付を確認する。






『昭和二十年 六月 十日』






…………え?




どういうこと?





昭和二十年って………1945年?