第一章 初夏
第2節 百合の咲く丘
*
「ツルさん、こんにちは」
佐久間さんはあたしを連れて、『鶴屋食堂』という小さな看板の出ている古民家みたいな建物に入った。
戸口ののれんをくぐって佐久間さんが中に声をかけると、50歳くらいのおばさんが奥から出てくる。
うわ、この人もコスプレ……?
着物の上に白い割烹着。
古いドラマに出てくるお母さんの格好。
店の中もなんかすごく質素っていうか、古びているっていうか………。
呆然として観察していると、佐久間さんがあたしの背中を押した。
「この子、百合っていうんですが、そこで暑さにやられて倒れていたんです。
少し休ませてあげてもらえないですか?」
「あら、大丈夫かい?」
ツルさんと呼ばれた割烹着のおばさんは、慌てた様子であたしに駆け寄ってきた。
「この暑さだもんねぇ、まったく参っちゃうよねぇ」
そう言いながらあたしを座敷に座らせ、湯呑みに入った水を出してくれた。
………う、ぬるい………。
なんで氷入れてくれないんだろ………。
第2節 百合の咲く丘
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「ツルさん、こんにちは」
佐久間さんはあたしを連れて、『鶴屋食堂』という小さな看板の出ている古民家みたいな建物に入った。
戸口ののれんをくぐって佐久間さんが中に声をかけると、50歳くらいのおばさんが奥から出てくる。
うわ、この人もコスプレ……?
着物の上に白い割烹着。
古いドラマに出てくるお母さんの格好。
店の中もなんかすごく質素っていうか、古びているっていうか………。
呆然として観察していると、佐久間さんがあたしの背中を押した。
「この子、百合っていうんですが、そこで暑さにやられて倒れていたんです。
少し休ませてあげてもらえないですか?」
「あら、大丈夫かい?」
ツルさんと呼ばれた割烹着のおばさんは、慌てた様子であたしに駆け寄ってきた。
「この暑さだもんねぇ、まったく参っちゃうよねぇ」
そう言いながらあたしを座敷に座らせ、湯呑みに入った水を出してくれた。
………う、ぬるい………。
なんで氷入れてくれないんだろ………。