あたしはぽかんとしたまま、こくこくと頷いた。
「そっか。何年生?」
「に………二年生」
なんとか答えると、男の子はふんわりと笑顔の花を咲かせた。
「じゃあ、同じ学年だ。
よかった。
俺、来週からここの二年に編入するんだ。
よろしくな」
男の子がこっちに手を伸ばしてきた。
あたしが反射的に手を上げると、男の子の手がしっかりとあたしの手を捉えた。
………この感触、知ってる。
骨ばっているけど、滑らかな感触の、大きな手。
ーーーあきら、
と、心の中で呼ぶ。
「………よろしくね」
と小さく呟いて、あたしは男の子の目を見つめた。
煌めく星明かりを宿したような、まっすぐできれいな瞳だった。
ーーー新しい世界だ。
そうだ。
あたしは、この世界で生きていくんだ。
たくさんの命が築き上げた、
たくさんの命で守られた、
この新しい世界で、
………あたしたちは、生きていく。
この世界をつないでくれた、数え切れない人たちの愛を、全身に感じながらーーー
【可視光の夏】完
*
続編のご紹介
【あの夏の光の中で、君と出会えたから。】
彰の生まれ変わりと百合の物語
「そっか。何年生?」
「に………二年生」
なんとか答えると、男の子はふんわりと笑顔の花を咲かせた。
「じゃあ、同じ学年だ。
よかった。
俺、来週からここの二年に編入するんだ。
よろしくな」
男の子がこっちに手を伸ばしてきた。
あたしが反射的に手を上げると、男の子の手がしっかりとあたしの手を捉えた。
………この感触、知ってる。
骨ばっているけど、滑らかな感触の、大きな手。
ーーーあきら、
と、心の中で呼ぶ。
「………よろしくね」
と小さく呟いて、あたしは男の子の目を見つめた。
煌めく星明かりを宿したような、まっすぐできれいな瞳だった。
ーーー新しい世界だ。
そうだ。
あたしは、この世界で生きていくんだ。
たくさんの命が築き上げた、
たくさんの命で守られた、
この新しい世界で、
………あたしたちは、生きていく。
この世界をつないでくれた、数え切れない人たちの愛を、全身に感じながらーーー
【可視光の夏】完
*
続編のご紹介
【あの夏の光の中で、君と出会えたから。】
彰の生まれ変わりと百合の物語