あたしはゆっくりと瞬きをした。




彰の存在した証を確認できた気がして、無性に嬉しかった。




そして、ゆっくりと歩き出したとき。





あたしの目が、一通の手紙の上に止まった。




その手紙だけ、やけにきれいで真新しく見えた。




封筒に入れたまま大事にしまいこんで、ずっと誰も読んでいなかったような………。





不思議に思って、ふと顔を近づけた瞬間。






「……………っ!!」






あたしは声にならない叫びを上げた。





そこには………






『百合へ』






と書いてあった。





彰の字で。






うそ………これ、あの時の手紙?





彰の出撃の日に、ツルさんの家で見つけた、あの手紙?





ガラスケースにのせた手が、かたかたと細かく震えていた。





まさか、ここに、あの手紙があるなんて。





あたしは瞬きも忘れて、その手紙に吸い込まれるように上半身を屈めた。