「ーーー君、大丈夫か?」






三角座りをして顔を俯けていると、突然、あたしの気分とは正反対の、妙にさわやかな声が降ってきた。





「…………?」





のろのろと目を上げると。



夏の陽射しを背に受けて佇み、あたしの顔を覗き込むようにしている人影。




逆光で顔が見えないけど、たぶん大学生くらいの男の人。




喉が渇きすぎて、気分が悪すぎて。



何も答えられずにいると、その人はあたしの前にしゃがみこんだ。





太陽の邪魔がなくなって、その姿が見えるようになる。





ーーーえ……?


なに、この人。




すごく変なコスプレをしている。




これ、軍服………っていうの?




歴史の教科書に載ってるようなやつ。





ぼんやりとその人の顔を眺めていると、ふいに手が伸びてきた。




ごつごつとした大きな手が、あたしのおでこにふわりと触れる。





「………熱いな」





すこし心配そうな声を上げて、その人は自分の腰のあたりから何かを取り出した。





「飲みなさい。水だよ」