「ここからは班別行動な。

事後学習でグループごとに発表してもらうから、ちゃんと考えながら見学しろよ」





担任の指示で、それぞれのグループがまとまって動き出した。



あたしは橋口さんたちの後をふらふらとついて歩く。




奥に入ると、広々とした展示室があった。




その壁を見た瞬間、あぁ、と息が洩れた。




壁一面を、数え切れないほどたくさんの顔が埋めつくしていた。




すべて同じ服、同じ帽子をつけているーーー特攻隊員たちの顔を写した白黒写真だった。




『出撃直前の写真』と書いてある。




穏やかで明るい笑みをたたえた、70年前に亡くなった若者たち。





その中にいくつもの見知った顔を見つけて、あたしは思わず顔を歪めた。





泣いてしまいそうだった。




顔を背けて、壁と反対側に目を向ける。




そこには、ガラスケースに入れられた遺品や遺書が展示されていた。





色褪せてぼろぼろになったものたち。




何度も読まれたように擦り切れた手紙。





グループのメンバーの後に従って、あたしは目を奪われたようにそれらを眺めた。