「リーダーは大事だぞ。

見学のあと、各グループの代表として、学芸員の方に謝辞を述べてもらうからな」





アオキが言った瞬間、教室じゅうがどよめいた。




元気のいい男子グループが騒いでいるのが聞こえてくる。





「うーわ、マジかよ、最悪」




「謝辞とか、なに言えばいいかわかんないっつーの!」




「お前やれよ、リーダー」




「やだよ、お前がやれよ!」





あたしの入ったグループも似たようなものだった。




リーダー格の橋口さんが引き受けるのかと思いきや、人見知りで緊張しいの彼女は、「ぜったい無理!」と首を振っている。




他の子たちも似たり寄ったりの反応。





これじゃ、いつまで経っても埒が明かないな。





あたしはタイミングを見計らって、「あのさ」と声を上げた。




グループのみんなが驚いたように一斉にあたしを見る。




少しびくついているような気がするのは、さすがに被害妄想だろうか。





あたしは最大限の優しい表情を作って、彼女たちに笑いかけた。





「あたしがやろっか、リーダー」




「え………っ?」




「あ、誰もやらないなら、あたしがやってもいいよってこと」




「え………っ」





橋口さんたちが目をまんまるに見開いて顔を見合わせた。