………でも。



テレビで海の向こうのニュースを見るたびに、あたしは苦しくなる。





まだ、戦争をしている国がある。



爆撃に怯えて暮らす人たちがいる。



内戦で失われるたくさんの命がある。



信仰の名の下に自爆テロをする人がいる。



武器を持って戦わされる子ども達がいる。




一部の馬鹿な大人たちのせいで、恐怖に眠れない夜を過ごしている子どもたちがいる。





そう思うたびに、あたしは70年前の世界で出会った人たちのことを思い出した。




見ず知らずのあたしに優しくしてくれたあの温かい人たちは、あたしが帰ってきた後もずっと、空襲に怯える生活を続けたんだ。



戦争が終わってからも、飢えに苦しむ生活を続けたんだ。





そしてそれは、今も世界のいたるところで続いているんだ。





戦争や内紛の記事を読んだり、


ニュースで空爆やテロの爆撃映像を見たり、


傷ついて血まみれになった顔や、家族を失って泣き崩れる人を見るたびに、



あたしは、70年前の世界で巻き込まれたあの空襲の夜の夢にうなされた。





ーーー戦争は終わっていないんだ、と痛いくらいに感じた。




ーーーこのままでいいわけがない。





でも、あたしに何ができる?





そんな苦悩を抱えながらも、あたしは毎日普通に生活を送っていた。