気がついたら、涙が溢れていた。




どうも最近、涙もろくなってしまったようだ。





『泣き虫だなぁ、百合は』





笑いを含んだ彰の声が、ふと耳に蘇ってきた。





………行ってしまった彰。




南の空に消えてしまった彰。





もう、会えない人………。






涙が止めどなく流れる。




あたしはふらりと床に膝をついて、しゃくりあげた。





そして、目の前の背中に抱きついた。




母親が驚いたように振り向き、目を丸くしている。





一睡もせずに、ぼろぼろになってあたしを探してくれた、ずっと待ってくれていた………あたしのお母さん。




女手ひとつで育ててくれた人。




それなのにあたしは反抗してばっかりで、迷惑をかけてばっかりで、喧嘩ばっかりしていた。






「お母さん………ごめん。


今までごめん………」






泣きながらごめん、ごめんと謝っていると、お母さんが両腕を伸ばして、ぎゅっとあたしを抱きしめた。






「………お母さんこそ、ごめん。

イライラして、百合に当たってばっかで………嫌な思いさせちゃったよね。

本当にごめんね………」






鼻をぐずぐすいわせながら謝るお母さんを見て、笑いが込み上げた。





あたしたちって、結局、似たもの同士の親子なんだな………。