ぼんやりと部屋の前に立つ。
無意識に鍵を取り出して、玄関を開けた。
その瞬間。
「…………百合!?」
奥のリビングから、母親が飛び出してきた。
ぼさぼさの髪、化粧の剥がれた顔。
「………このバカ娘!!」
母親は容赦なくあたしの頬に平手打ちをした。
久しぶりだったので、よけきれなかった。
かっと熱くなった頬を押さえて、母親を見る。
マスカラとアイシャドーで真っ黒になった目。
その目から………ぽろり、と涙が溢れた。
母親が泣くのなんて初めて見たから、思わず呆然としてしまった。
母親はぽろぽろ泣きながら、あたしを睨みつける。
「………いったいどこに行ってたのよ!!」
もちろん、戦時中の日本に行ってました、なんて言えない。
あたしは黙り込んで母親を見つめ返した。
「………ったく、本当に困った子ね。
探しに行ってもどこにもいないし………おかげで一晩寝れなかったわよ。
これじゃ仕事にならないじゃないの、どうしてくれるのよ!」
懐かしいお説教を聞きながら、あたしは首を傾げる。
………一晩寝れなかった?
一晩?
無意識に鍵を取り出して、玄関を開けた。
その瞬間。
「…………百合!?」
奥のリビングから、母親が飛び出してきた。
ぼさぼさの髪、化粧の剥がれた顔。
「………このバカ娘!!」
母親は容赦なくあたしの頬に平手打ちをした。
久しぶりだったので、よけきれなかった。
かっと熱くなった頬を押さえて、母親を見る。
マスカラとアイシャドーで真っ黒になった目。
その目から………ぽろり、と涙が溢れた。
母親が泣くのなんて初めて見たから、思わず呆然としてしまった。
母親はぽろぽろ泣きながら、あたしを睨みつける。
「………いったいどこに行ってたのよ!!」
もちろん、戦時中の日本に行ってました、なんて言えない。
あたしは黙り込んで母親を見つめ返した。
「………ったく、本当に困った子ね。
探しに行ってもどこにもいないし………おかげで一晩寝れなかったわよ。
これじゃ仕事にならないじゃないの、どうしてくれるのよ!」
懐かしいお説教を聞きながら、あたしは首を傾げる。
………一晩寝れなかった?
一晩?