「なんだ………開くじゃん。


びびったぁ………」





安堵の息をもらして、あたしは板戸を全開にした。




その瞬間、外の熱気がぶわっと流れ込んでくる。





「あっつぅ………」





あたしは着ていたジャージを脱ぎ、カバンの中に押し込んだ。





さて、どうしようかな。




家には帰りたくないし、とりあえず学校に直行するか………。




でも、お風呂はいりたい。




てか、いま何時なんだろ?



母親が朝のパートに出てる時間なら、こっそりアパートに帰ってシャワーだけでも浴びよう。




そう思って、時間を確かめるためにスマホを取り出した。






「………え? 圏外?」






驚いて場所を移動する。




でも、防空壕から離れてもいっこうにアンテナは立たない。




念のために再起動してみたけど、やっぱりダメ。





途方に暮れて、あたしはスマホをしまって顔を上げた。





「…………え?」





目の前に広がる風景を見て、思わず目が点になる。






「………なんで、なんにもないの?」