彰が笑っている。




お酒が入っているからか、いつになく大きな笑い声を立てていた。




ねぇ、どうしてそんなふうに笑えるの?



明日死ぬっていうのに。




あたしは彰を見ないようにしながら、食卓の真ん中に皿を置いた。





「ありがとう、百合ちゃん」




「いやぁ、百合ちゃんが給仕してくれると、ツルさんの料理がさらに美味く感じるなぁ」





そんな軽口にあたしは無理やり笑みを浮かべたけど、うまく笑えていた自信がない。





そのとき、一人の隊員さんがふらりと立ち上がった。




たしか、野口さんという人。





「少し外の空気を吸ってくる」





と隣の人に声をかけ、ふらついた足どりで店の戸口から出て行った。




しばらくしても帰って来ないので、もしかして気分が悪いのかと心配になって、あたしは水を入れた湯呑みを持って外に出る。





野口さんは少し離れたところに座り込んで、膝を抱えていた。






近づいて、思わず息を呑む。




野口さんは、泣いていた。






「………野口さん、大丈夫?


どうしたの、気分悪い………?」





そっと隣に座り、声をかけると、野口さんがゆっくりと顔を上げた。