隊員たちが歌う声が聞こえてくる。






「貴様と俺とは 同期の桜  

同じ兵学校の 庭に咲く

咲いた花なら 散るのは覚悟  

みごと散りましょう  国のため」






『同期の桜』、という歌だ。



この時代に来てから、耳にたこができるくらい何度も聞いた。





………なんて歌だろう。



なんて歌詞だろう。




聞いているだけで怒りが込み上げてくる。




散るのは覚悟?



みごと散りましょう、国のため?





こんな歌で、政府は軍人たちを洗脳しているんだ。






「貴様と俺とは 同期の桜  

離れ離れに 散ろうとも

花の都の 靖国神社  

春の梢に 咲いて会おう」






靖国神社って、たしか、戦没者を祀った神社だっけ?




現代のテレビニュースで何度も見たことがある。




総理大臣とか政府の偉い人が、終戦記念日に参拝することについて、外国から批判されたりして。




特攻で死んだら、その神社の桜の花になって、そこで再会しようってこと?





ほんと、馬鹿みたい。




ねえ、分かってる?



死んじゃったら、もう会えないんだよ………。