ツルさんが手際よく作った料理を、どんどん食卓に運んでいく。




隊員さんたちは大きな口を開けて料理を食べ、酒を飲み、真っ赤な顔をして、大声で笑い合っていた。




しばらくすると、みんなで肩を組んで軍歌を合唱しはじめた。





「石丸、あいかわらず音痴だなぁ。

つられて俺まで調子っぱずれになってしまう」





一人がそう言うと、石丸さんは





「それはお前も音痴だからだろう」





と頭を小突いた。




どっと笑いが沸き起こる。




みんなものすごく明るくて、朗らかで、和んだ雰囲気で酒盛りを楽しんでいた。




明日の今頃にはみんなこの世からいなくなっているなんて、信じられないくらいに。





あたしはその場にいるのがつらくなって、ツルさんのいる台所に戻った。





「………なんで、みんな、あんなふうに笑えるの？」





ぽつりと呟くと、かまどの火加減を調節していたツルさんが顔を上げてあたしを見た。