彰はあたしの頭を撫でながら、静かに語る。






「俺は、家族や友人や……大事な人たちを守るために往く。


誰かが征かないといけないんだ。


このままでは日本は大敗してしまう」






その言葉を聞きながら、あたしは無性に虚しくて、悲しかった。






「………なんで彰なの?」






あたしの呟きは彰のシャツに吸い込まれていった。



でも、その意味は彰の胸には届かないんだろう、と思った。





それでも、あたしは言わずにはいられない。






「なんで彰が行かなきゃいけないの?


なんで彰が死ななきゃいけないの?


そんなのおかしいよ………」






彰は黙って聞いていた。



一定のリズムで頭を撫でる手が、悲しいくらいに心地よかった。






「………いくら大事な人を守るためだからって……そのために彰が死んだら意味がないじゃん」