目の前にいる人が、三日後の今ごろには、もうこの世にいない。



たぶん確実に、死んでいる。




そんなの………信じられない。




受け入れられるわけない。





あたしには言えない。



『お国のためなら仕方ない』だなんて。





誰にぶつければいいかも分からない、矛先のない怒りが、あたしの心を支配した。





あたしは彰の背中に爪を立てるほどの強さですがりついた。






「ねぇ、彰、逃げよう。


あたしと一緒に、逃げよう………!」






彰はゆっくりと瞬きをして、静かに首を横に振った。






「………それは、できない。


俺には、できない………」






一瞬で、絶望的な気持ちになった。




彰の目はあまりにまっすぐで、あまりに強くて、その考えは絶対に変わらないのだと語っていたから。





涙がぽろぽろと溢れた。




この時代に来てから、あたしは何度泣いただろうか。




やるせない現実に何度も涙を流したけど、あたしは何も変えられなかった。