その優しい声を聞き、その柔らかい微笑みを見た瞬間。






ーーーあぁ、好きだ、





………と思った。




唐突に思った。





あたしは、彰が好きだ。




好きなんだ。






今まで考えないようにしていたこと。




でも、もう、ごまかしきれないと思った。





あたしは、こんなにも、彰のことばかり考えている。




いつも、彰のことで頭がいっぱい。





あたしを優しく抱きしめてくれたその腕の感触が、その温もりが、忘れられなくなってしまった。






ーーーあたしは彰が好きだ。




どうしようもないくらい好きだ。






………でも。



好きになっちゃいけない、って、ずっと思っていた。





だって、彰は………特攻隊員だから。




近い将来、必ず死ぬんだから。





だから、好きになっちゃいけないって、好きになっても無駄だって、自分に言い聞かせていた。





でもーーー無理だ。




あたしは、もう、こんなにも彰のことが好きになってしまっている。





好きになったらいけないとか、好きになっても無駄だとか、そんな計算は、勝手に膨れあがる想いには通用しなかった。