「なにすんの、彰………」





ちょっと怒った声で言うと、彰がくすりと笑った。





「百合、見てごらん」





彰が笑いを含んだ声で言いながら、ぱっ、と手を離した。





その瞬間。





「ーーーうわ………っ」





あたしは思わず叫んだ。




だって。





「なにこれ、すごい………」





目の前に、満天の星空が広がっていたのだ。





深い紺色の空を隙間なく埋め尽くす、星、星、星。




小石のように大きな星から、細かな砂粒のように小さな星まで、数え切れないほどの星が輝いていた。





あたしが知っている夜空とは、星の明るさもその数も、圧倒的に違っている。





「すごい、こんなにたくさん星が見えるなんて………」





あたしが呆然と空を見上げながら呟くと、彰が頷いた。





「灯火管制で町の明かりがないし、この丘の上は見晴らしがいいから。


いつか、百合に見せてやりたいと思ってたんだ」