「………生き恥って、なに?」





あたしはほとんど無意識のうちに呟いた。



みんなの視線が、一斉に集まる。




あたしは一度唇を噛んで、そしてまた口を開いた。





「生き恥って、なんなの?

生きてるのが恥ずかしい、ってこと?


そんなはずない………っ。

生きたいと願うのは、恥ずかしいことなんかじゃない!」





一度あふれ出した言葉は、もう自分の力では止められなかった。





「生き恥なんて言葉、使わないで!


生きたいって思う人を否定する権利なんて、誰にもない!

生きようとする人を止める権利なんて、誰にもない!」





加藤さんが、驚いたように目を丸くしていた。




そして、何か言おうと口を開いたけど、あたしにはまだ言うべきことがあった。





「板倉さんは、生きたいの。

愛する人のために生きたいの。


板倉さんを止める権利なんて………誰にもない。


お願いだから、何も言わずに、板倉さんを行かせてあげて………」