探し始めて30分くらい経った頃だろうか。





「ーーー板倉さん!」





町外れの道をとぼとぼと歩く背中を見つけて、あたしは後ろから声をかけた。




板倉さんはゆっくりと振り向いたあと、あたしの姿に気づくと、急に我に返ったように走り出した。





でも、あたしはすぐに追いついた。




板倉さんの足もとは、それくらい覚束ないものだった。





「板倉さん………大丈夫?」





板倉さんの顔色があまりに悪いので、あたしは心配になって訊ねた。





「………ゆり、ちゃん」





板倉さんの顔がくしゃりと歪む。





「…………見逃してくれ!」





板倉さんは唐突にそう叫び、道の真ん中で土下座をした。





「頼む、お願いだ、どうか見逃してくれ!


俺は………行きたくない………」





「え………?」





呆然とするあたしに向かって、板倉さんは青ざめた顔に脂汗を浮かべて必死に懇願する。






「………死にたくないんだ……っ」