おじさんが帰ったあとの食卓を拭いていると、表が騒がしくなった。




今日は基地の訓練休みの日だ。



彰たちが来たんだと思って、あたしは外に飛び出した。





「彰! いらっしゃい」





笑顔で迎えると、彰と石丸さんが同時にあたしの頭を撫でた。





「おはよう、百合」




「百合ちゃん、彰だけに挨拶なんて、ずるいぞー」





石丸さんが子どものように唇を尖らせたので、あたしは思わず噴き出してしまった。






「ごめん石丸さん、いらっしゃい。他のみんなも」




「なんだよ、俺らはおまけか」




「あはは、ちがうって」





あたしたちは笑い合いながら店の中に入った。





彰たち五人はいつもの席に座った。




ツルさんが料理を皿に取り分けるのを手伝いながら彼らの様子をちらりと見たあたしは、何かが変だとすぐに気づいた。





彰たちはいつものように談笑している。




でも、何かがいつもと違った。




まとう雰囲気が、明らかに違った。