うそ………どこで? いつ?





彰に助けられたときには、まだ確かに持っていた。



彰に背負われているときも、一度風呂敷をほどいてきちんと身体に巻きつけておいたはず。





でも………そこから先は?




火の海の中を移動しているとき、あたしは周りの恐ろしい光景に目を奪われて、風呂敷のことをすっかり忘れてしまっていた。




小学校ではどうだった?




地獄のような凄惨な状況で混乱して、包みを持っていたかどうかなんて、まったく覚えていない。






「………ごめん、ツルさん、お米………」





あたしは泣きそうな声でツルさんに謝った。




申し訳なくて仕方がない。




ツルさんの大事な着物と交換した、大事なお米だったのに。





でもツルさんは、優しく笑って首を横に振った。






「なに言ってんの。

この際、お米なんてどうでもいいよ。

百合ちゃんの命が助かったことに比べたら、どうだって………」