どんな夜にも、必ず朝は来る。



たとえ悪夢のように残酷な、地獄のように悲惨な夜であっても。



そうして猛火の夜が明けて、焦土の朝がやってきたのだった。






窓から射し込む朝陽に目を開けると、彰が隣で「おはよう」と微笑んでくれた。





「おはよ………彰」




「起きられるか?」




「うん」





身を起こして周りを見てみると、やっぱり怪我に苦しむ人が溢れていたけど、



消防団や軍からの救援物資や、被害を免れた人々からの援助が少しずつ届き始めて、昨夜よりは空気が柔らかくなっていた。






「夜のうちに火もおさまったらしい。

今ならたぶん鶴屋食堂に帰れるだろうが、どうする?」





「うん、帰る。ツルさんが心配だもん」





「そうだな」






人混みを掻き分けるようにして二人で小学校を出た途端、彰とあたしは呆然と足を止めた。






「…………なんだ、これは」






彰が掠れた声で呟く。






「………ひどい………」






あたしはそう言って彰の袖を掴んだ。