抱えた膝に顔をうずめた。




どれくらいの時間が経ったのかも分からない。





薄目を開けてみると、いつの間にか真っ暗になっていた。





「………彰」





顔を上げて小さく呼びかけると、うとうとしていたらしい彰がゆっくりと目を開けた。





「百合、少し寝たほうがいいよ」




「うん………」





彰があたしの肩を抱き、自分のほうに引き寄せた。




彰の胸にもたれ、目を閉じる。




すごく疲れているはずなのに、全然眠れそうになかった。





瞼の裏に、今日見た空襲の風景が浮かび上がる。





燃え盛る炎。



焼け崩れる家。



死んでしまった女の子。



数え切れないほどの死体。





あたしは目を開けた。




目を閉じるのが怖かった。





暗闇のなかに薄っすらと浮かび上がる、ぎゅうぎゅう詰めの人々。





あぁ、とか、うぅ、とか、苦しげな呻き声があちこちから聞こえる。





「いたぁい、いたぁい………」




「おとうさん、おかあさん………」




「くるしい………」




「だれか………」




「熱い、痛い、水をくれ………」




「みず、みず………」