話を聞くと、男の子の近所の人らしい。




見知った顔を見てさらに泣きじゃくる男の子をおばさんに預け、二言三言交わしてから、彰は戻って来た。





「百合、怪我はどうだ?」





あたしは軽く頷いて、





「軽い火傷みたい。だいぶ痛みもおさまってきたし、大丈夫」





と答えた。





「そうか………とにかく早く手当てしたほうがいいんだが、どこも薬が足りていないらしい」





「平気だって。もうそんなに痛くない」





「そうか?」






彰はまだ心配そうな表情をしていたけど、その顔に疲れが滲んでいるのが分かって、あたしは彰の手を引いて座らせた。






「彰、ちょっと休んで」




「うん………ありがとう」





彰はくすりと笑い、壁にもたれて、ゆっくりと目を閉じた。





あたしはその隣で、膝を抱えながら周りを見る。





血だらけの包帯を腕や足に巻いている人。



頭から血を流して気を失っている人。



全身に火傷を負っている人。



変な方向に曲がった足をかかえ、呆然としている人。





見ているだけでも恐ろしかった。