あたしは「うるさいなあ」と悪態をついた。


「いいじゃん、ちょっとくらい寝たって」

「ったく、あんたは本当に! お母さんがあんたのために働いてる間に昼寝なんて、いいご身分ね!」


嫌味ったらしく言われて、かあっと頭に血が昇った。



「なにそれ、恩着せがましい。

あんたが勝手にあたしを生んだんでしょ?

育てるために稼ぐの、当たり前じゃん!」



そんな言葉が口をついて出た。

母親の顔が一気に赤く染まる。



「………この、親不孝者!」



もう耳にタコができそうなほど聞いた言葉だ。



「今日も学校から電話あったわよ!

授業中の態度が悪いし、宿題も出さないって!

どうしてあんたはそうなのよ、ちゃんと勉強しないのよ!?」



「そんなのあたしの勝手でしょ!?」



「あんたのために言ってるのよ!

いま勉強しないと、将来苦労するのは自分なのよ!?」