「さぁ、行くぞ。


急ぐから、落ちないように、しっかりしがみついておけよ」





彰は有無を言わせずあたしを背負い、立ち上がった。



男の人に背負われるのなんて、初めてだった。




彰はすぐに駆け出した。



思った以上の揺れで、ちゃんとしがみつかないと今にも振り落とされそう。




あたしは彰の首に腕を回し、ぎゅうっと抱きついた。





広くて、固い背中。




この背中にぴったりとくっついていれば、きっと大丈夫。



そんな気がした。




この胸の鼓動が、彰の背中に伝わっているに違いない。



恥ずかしい………。




でも、あたしは彰の背中に全身を預けた。




少しでも近づきたかったから。



離れたくなかったから。




あたしを助けるために、火の海の中を探しに来てくれた、この人に。