そうこうしているうちに、隣の家にも火が燃え移り、ちろちろと炎が出はじめた。





「行こう。ここは危険だ」




「うん………」





彰に続いて立ち上がろうとすると、梁に挟まれていた右足に激痛が走った。



思わず顔をしかめたのに気がついたのか、彰があたしの脇に腕を差し入れる。





「歩けそうにないな」




「…………」




「よし、おぶされ」





彰は地面にしゃがみこみ、あたしの両腕を引いて自分の首に回させた。



彰に背負われた形になり、自分の胸が彰の背中に密着しているのが恥ずかしくてたまらなかった。





「いいよ、頑張れば歩けるって………」





慌てて降りようとすると、彰はちらりと振り返り、「なにを照れているんだ」と小さく噴き出した。





「て、照れてない!」とあたしは必死に否定する。





「顔が赤いぞ」




「っ、ばかっ!」





背中を思い切り叩いてやったけど、彰は構う様子もなくまた笑った。