「………彰、どうしてここに?」






小さく訊ねると、彰はあたしの頭に頬をのせて答えた。






「鶴屋に着いたところで、空襲警報が鳴って。

ツルさんが泣きそうな顔で、お前をお使いに行かせてしまった、って……」





「………それで、探しに来てくれたの?」






目を上げると、彰の優しい微笑みがあたしを見つめていた。




恐怖ではなく、胸がどきりとする。






「………当たり前だろう。

前に言ったじゃないか。

百合は俺のもう一人の妹みたいなものだから………」






その言葉を聞いた瞬間、なぜか、どうしようもなく切なくなった。






「………なんて、言わないで」






妹なんて、言わないで。




そう呟いてしまってから、しまった、と思った。




でも、彰は「え?」と首を傾げた。





よかった………聞こえなかったんだ。






「なんでもない」






あたしは首を横に振った。