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ある日突然、クラスメイトの唐沢隼人が消えた。 騒つく教室でただひとり無関心でいた僕に声をかけてきたのは唐沢の彼女、橘千歳だった。 『ねえ、私と一緒に、隼人を探しに行こうよ』 ▫︎ 前半は穏やかに時間が流れる。 小さな田舎町の風景は始終美しく丁寧に描かれていて、まさに〝書いている〟よりも〝描いている〟という表現がぴったりだと思いました。 一字一句、見逃してはならない。この物語は大切に大切に読まなければならない。そんな気持ちで、二人と同じ時間を共有するようにゆっくりと読み進めました。 しかし物語の半ば、ある一文からは、物語が急速に進み始め、次に次にとページをめくる手が止まりまらなかった。綺麗事で丸く収めたようなものじゃなく、まるで抱きしめるように優しく力強いラストには、私も勇気をもらいました。 明日を迎えるのがどうしようもなく嫌になってしまったとき、私はこの長い一日を思い出したい。
豊かな言葉選びに、かっちりしすぎない細やかな文章。そしてゆらりゆらりと読者を引き込む展開。 全部がすとんと入ってきて、読了後はまるで、恒と渡と同じ夏を駆け抜けたようなそんな気分でした。 また、学生から大人までというスタ文のテーマにあまりにもぴったりで、学生の方は辞書を引きながらでも読みたくなるだろうし、大人の方は携帯小説にたまに感じることがあるかもしれない物足りなさもこの作品では全く感じられないだろうな、と。 恒が渡を日向に連れて行くたび、私も恒とともに渡の心に触れられたような気がして嬉しくなり。そしてその反面、彼の運命を思うと心が痛くてなりませんでした。 でも、最後にあふれたのはさみしくて苦しい涙なんかではなく、優しくてあたたかい涙。 深空を愛し、そして恒の親友であった渡のことを、私もきっとずっと忘れられないと思います。
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