「 千世、お前の願い、聞き届けた 」
空へ舞い上がるそれを目で追いかけた。
わたしの夢は、暗闇に見えなくなる。でもそれは、神様に大切に見守られた証。
あの夢はこれからも、わたしの中で確かに光って、わたしのことをどこまでも支えてくれるんだろう。
大切な、夢のモトであり、そして、道しるべ。
「ねえ常葉」
「ん?」
「ちゃんと見守っててね。わたしの夢。消えたりしないで、いつまでも見てて。きっとわたし、これからもたくさん、いろんな夢を見つけると思うから」
これから先、どれだけのものに出会うかわからない。
たくさんのものを見つけて、たくさんの人と出会って、たくさんのことを経験して。その中で、新しい夢を見つける。
必ず、いつか、道の終わりに辿り着くまで。その日まで。
「わかった」
常葉は答えた。そして笑った。
あんまり綺麗だったから、わたしは同じようには笑えなかった。
手の甲に、ぽつぽつ滴が落ちる。
またお天気雨かな。最近多いな。そうじゃないことなんて、もちろんわかってた。
でも泣かないって決めてたんだ。かっこ悪いから。2回も、泣いてるところを見られたくない。
それでも止まらないんだ。ぼろぼろこぼれて、何にも見えなくなる。
世界が光る。キラキラと。
無数の光。星の光。神社の灯りと、わたしの涙。
泣きたくないよ。かっこ悪いし。
常葉はきっと笑ってるのに、わたしだけ泣いてたくなんかないんだよ。
だって常葉は笑ってる顔が好きなんでしょう。
わたしの、笑ってる顔、常葉には見て欲しいんだ。