「あー……いいなあ」
校門に向かうと、隣にグラウンドが見える。
そこではサッカー部と野球部が練習をしていて、それを見ながら瀬戸山がつぶやいた。
「どっち? サッカー?」
「そう。俺、元サッカー部。っても高校では半年もやってねえけど」
そういえばうまかったな。
へえ、と小さく返事をしてふたりでサッカー部を眺めながら歩いた。
交換日記にもそんなこと書いてあったような……中学までって書いてたけど、高校でもやってたんだ。
……なんで辞めたんだろう。
羨ましそうな瀬戸山の瞳を見ると、聞いちゃいけないような気がしてなにも言わなかった。
「……黒田って他人に興味ねえの? だからそんなふわーっとした返事ばっかりなの?」
「え? なんで。そんなことないよ」
「普通、なんで辞めたの? とか聞くのに、スルーじゃん」
クスクスと笑う彼に、気にし過ぎたかな、と恥ずかしくなる。
まさかそんなふうに受け取られるなんて思ってなかったし……。
「え、と。じゃあ、なんで辞めたの?」
「いいよ、別に無理して聞かなくても」
「そんなこと言ってないじゃないー。気になるから、教えてよ」
あはは、と大きく口を開けて瀬戸山が笑う。
どう見てもからかわれてる……。意地悪だなあ。