数分歩いて、1時間フリードリンク280円のカラオケに8人で入る。

案内された部屋は少し狭くて、8人入るともういっぱいいっぱいだ。
一番最後に入って、隅っこでおとなしくしていよう、とおもったけれど優子に「はいはい、入ってー」と施されて、逃げ場のない真ん中に座る羽目になった。

しかも、なんでか瀬戸山の隣……。

いいなーという視線を送ってくる友達に今すぐ変わってあげたい!


「自己紹介でもする? とりあえず」

「あーいいね。俺からする?」


優子が仕切ると、目の前にいた男の子が早速名前を告げた。
ふたりの様子からして、中学時代の友達、とは彼のことなんだろう。


「え、と。黒田、希美です」

「え? 黒田? 放送部員の?」


私の順番になって名前を言うと、端にいた男の子が驚いた顔をする。

知り合いだっけ? と思ったけれど見覚えはないし、名前……なんだったっけ? さっき言っていたような気がする。


「お前、知り合い?」

「いや、全然。でもほら、あのロックばっかりのお昼っていつも岡田って名前の女の子だろ? 声聞いたことあるなあって思って」

「あー、あのぶっとんだ感じの曲ばっかりかける」


……そんなふうに人の記憶に残っているなんて思ってなくて、どう反応したらいいのかわからない。

しかもぶっとんだ感じの曲……って。