「待ち合わせ? 同じ学校なのに?」


友達のひとりが不思議そうな顔をして優子に問いかける。
その言葉に初めて相手が同じ学校の男子なんだと知った。

同じ学校なのに、なんで合コンなんて……。


「相手、1時間くらい遅れるから先にファミレスかどっかで待っとくの」

「あーそっかー。そう言えば終わる時間違うもんね」


ふたりの会話に、ふと足が止まる。

……同じ学校で、授業が終わる時間が私たちと違う、ってこと、は。
え? え? もしかして?


「どうしたの、希美」

「え、と、相手ってもしかして、理系、コースの子たち?」

「そうだよ? 言ってなかった?」


立ち止まった私の問いかけに、優子が首を傾げる。
ほかのふたりも知っているような口振りだったから、私だけが聞いてなかったんだろう。

っていうか、え? ちょっと待って、理系コースなの? え?


「誰、が来るの?」

「えー、そんなの秘密だよー! 楽しみにしてて!」


にやりと笑った優子は楽しそうに軽い足取りで進み始めた。

……楽しみに、できないんですけど。
ちょっと待って待って、瀬戸山が……来るとか、ないよね?

理系コースなんて2クラスしかないし、ほとんどが男子だし、瀬戸山は江里乃が好きだし。好きな人がいるのに合コンに来るようなこと、しないよね。

確率的には低いけれど、相手が理系コースの男子とだって知っていたら絶対参加しなかったのに。