だから、なぜ、こうなるんですか。


いや、予想はしてた。


瀬戸山のことだから、今までの返事からして“なんでだ!”と思うようなことばかりだったのだから、もしかしてもしかすると、とは思っていた。

だからこそ、返事をした日にはこまめに人の目を盗んで放送室の相談ボックスを覗いたし、靴箱を開けるときも入っていたらまずいと誰にも見られないように気をつけた。

もちろん、瀬戸山と顔を合わすとまずいと、電車の時間も1本早めた。


だから、水曜日の今日だって机の中をいの一番に探った。
そして見つけた手紙。

なにが書かれているのか、なんて言われるのかとドキドキしつつ開けば、この内容。

なんで! 付き合うとかいう発想に至るの!


“付き合ってほしい”


「……っう……」


直視すれば、顔に熱が帯びる。
“好きだ”と書かれたあのとき以上に、言葉に重みがある。ダイレクトに瀬戸山の気持ちが伝わってくる。


肘をつくふりをしながら、多分真っ赤に染まっているだろう自分の顔を隠した。


なんでこう、真っ直ぐな言葉で伝えてくるんだろう。
恥ずかしくならないのかな……。受け取った私が恥ずかしくてたまらないんだけど。


“俺のこと知ってほしい”


知ってほしいと言われても……。

知るために付き合うの?
それでダメだったら……別れるってことでしょう? 私から告げられるはずがない。

そもそも瀬戸山だって私のすべてを知っているわけじゃないだろうし。瀬戸山から別れたくなる可能性だってあるのに。