土日に下書きまでして何度も返事を考え、何度も書き直し、素直な気持ちを言葉にした。

これでいいのかよくわからないけど……はっきりした返事ができたんじゃないかと思う。嘘偽りなく、これが私の気持ち。

嬉しい気持ちもある。
だけどやっぱり、じゃあお付き合いしましょう、なんて無理だもの。


いつものように、まだ誰も学校に来ていないだろう朝早い時間、きょろきょろとあたりを見渡しながら瀬戸山の靴箱に手紙を入れた。


教室に戻りながら、深呼吸を繰り返す。
誰にも見られていませんように、と祈りつつ。


そして、瀬戸山が傷ついたり怒ったりしませんように、と。


きっとこれで最後になる。最後の手紙。きっと、絶対返事は来ないだろう。


「ちょっとだけ、残念だけど」


ひとりきりの廊下でぽつりと本音を漏らして、自分で苦笑した。

瀬戸山と関係ができたら、毎日落ち着かないだろう。みんなはきっと私のことを見てくるだろうし、隣に瀬戸山が立っていたとして並んで歩くなんて、緊張と戸惑いで会話なんてできそうもない。


手紙だけでいっぱいいっぱいなんだから。


でも、あり得ないような現実は、ほんの少し夢みたいで、困ったし大変だったし、すっごく悩んだけど、終わってしまえば少しくらいは楽しいと思っていたかもしれない。

ほんの少しだけ、瀬戸山に興味も出たし。


多分……返事は……ない、よね。
いや、瀬戸山なら……今までのことを考えると気は抜けない。