こんな手紙どうでもいい。
続けたっていいし、やめてもいいどっちでもいい。
私のことを好きじゃなくてもいい。


ただ、瀬戸山には嫌われたくない。
今までと同じように、接して欲しい。


『ごめん、ずっと保健室にいて気付かなかった、ありがとう』


そうメールを送ると、すぐに『おう! 明日からテストがんばれよ』と笑顔が目に浮かぶような返事が届いて、私をもっと弱虫にする。



家で勉強しながら返事も考えてみたけれど……どう答えたらいいのか、昨日以上にわからなかった。
なおかつ数学の教科書を開けばキスしたことが蘇りパニックになって、受け取ったあの手紙を思い出して気持ちが沈む。

その繰り返しばかり。


「今日のテスト……大丈夫かな……」


不安しかない。
テストだけじゃなくて、これからのことも。

書くべきことはわかっているのに、手が震えてどうしても書けなかった。


「希美おはよー、大丈夫だった?」


教室に入ると、私の姿を見つけた江里乃が駆け寄ってくる。


「うん、ありがとう」


そう言いながら、目をそらしてしまって自分でしまった、と思った。
江里乃は悪くないのに……こんな態度、変に思われるのに。

その空気を察したかのように「はよー!」という優子の明るい声が響いた。