いつから好きだったんだろう。返事を書いたとき? それとも合コンで話をしたとき? 今までは苦手だって思っていたのに……こんなふうに部屋でふたりきりで、こんなふうに見つめ合っている。
変な感じだな。
「下ろせばいいのに」
「……そのほうが好きなの?」
江里乃は短いけど、やっぱり男の子は、髪の毛長いほうが好きなのかな。
瀬戸山は私をじーっとみて「んー」と考える。
「まーどっちも似合うんじゃね? だから、どっちでも」
心臓が、食われたのかと思うくらい、バクンと跳ね上がって、痛む。
なんなのこれ。なんなの、この状況。
「……お前に会ったとき、すっげーイライラした。自分の意見言わねえし。俺そういうのすげえ嫌いだから。でも……こうやって話をしねえとわかんねえもんだな」
……どういう、意味だろう。
まるで、告白されているみたいだ。なんて。言葉以上の意味なんて、あるはずがない。
「自分と違う考え方も、面白いな」
目を細めて、私の髪の毛に指を絡ませる瀬戸山から、目が離せない。
……こんなふうに、話をするような関係じゃなかった。
今でも、瀬戸山の顔が目の前にあるなんて……冷静に考えれば信じられない。
胸が、トクトクと心地よく音を鳴らして、私を夢の中に連れて行く。
まさか、こんなに近くで瀬戸山の顔を見ることがあるなんて。瀬戸山のきれいな黒目に、私の呆けているような顔が顔が見える。
吸い込まれるように、その瞳を見ていた。
次第に近づいてくるその瞳に、私の瞳が重なるまで——……。