……よかった。ふたりが仲直りしてくれて。
言いたいことを言い合って、それでも、素直に謝って仲直りができるって、すごいなあ。

本当に、すごいと思う。


……私は今まで、そんなこと、してきたかな。
考えるまでもなく、なにも、してこなかった。

そう思うと一気に気分が沈んでくる。
本当に私は、なんて弱虫なんだろう。


「でね、米田って、私のこと中学の時から好きだったんだって！」


仲直りが終わるとすぐに、優子ののろけ話が始まった。
話を振ったのは江里乃だけれど、終わる気配のない話に、ちょっと疲れた表情を見せる。


「まー私も好きだったんだけどねー」

「よかったよかった」


棒読みだよ、江里乃。
心でつっこみつつも、笑う。


「ほんと、うらやましいよ」

「なーに言ってるの、生徒会の江里乃が。自慢じゃないけど私つきあうの初めてなんだからね。江里乃のほうがうらやましいよ、私は」

「……んー、そうかもしれないけど」


江里乃にしては珍しく濁すような返事に、私と優子が顔を見合わせる。

私から見ても、江里乃はうらやましいのに。
いろんな人に告白されてつきあっている。誰もが江里乃のことを美人だという。

それに……瀬戸山にすかれている。


「でも、長続きしないんだよねえ」

「それは江里乃が振ってるからでしょ？」

「言ってなかったっけ？　私が振られてるのよ。私から振ったことなんて一度もない」


けろっと告げられた真実。